身体醜形症(BDD)を学ぶ上で、有用な本をいくつかご紹介いたします。
【読む常備薬】
図解 いちばんわかりやすい
醜形恐怖症
:自分の容姿が許せない
あなたに寄り添う本
原井クリニック医療アシスタント 松浦 文香

強迫症の分野で言わずと知れた原井宏明先生の著書です。
第121回日本精神神経学会学術総会で、身体醜形症のシンポジウムの企画立案・発表者も担った先生です。
本の構成としては、「身体醜形症の実態」、「症状のタイプ」、「原因と治療」、「環境調整と周囲の対応」の4章立てとなっています。
イラストが豊富でわかりやすく、身体醜形症(BDD)の入門一冊目として適している参考書ではないかと思います。
私自身も原井先生が主催する強迫症の自助グループ「京橋強迫の会」への参加や、原井先生の診察の陪席もさせて頂きましたが、わかりやすく丁寧な診察がそのままこの本に表れていると感じました。
原井先生はこの本の他にも数多くの強迫症関連の書籍や、エクスポージャーと儀式妨害を3日間で集団・集中的に行う、3日間集団集中療法(three days intensive therapy;3DI)を強みにしているクリニックも運営しておりますので、ホームページ等もご参照して頂けたらと思います。
身体醜形障害
なぜ美醜に
とらわれてしまうのか
(こころライブラリー)
鍋田 恭孝

日本で初めて身体醜形症(BDD)について書かれた書籍です。
本書においてKatharine A Phillips博士等の海外での知見と、鍋田先生ご自身の臨床での体験とを比較し、日本と海外では同じ身体醜形症(BDD)であっても異なる部分もあるという持論を展開されており、日本のBDDの現状を知るのに非常に参考になります。
第7章の身体醜形障害の治療の項については、特に目から鱗であり、3ステップでの治療は臨床場面において大変参考になります。
私自身も鍋田先生とお会いし、身体醜形症について数多くの質問をさせて頂きましたが、全ての質問に対して真摯に誠実に答えてくださいました。
鍋田先生のもう一つの著書である『対人恐怖・醜形恐怖―「他者を恐れ・自らを嫌悪する病い」の心理と病理』の中で、BDD患者の美容整形について見解を述べている項がありますが、精神科臨床医の心構え・態度としてつよく感銘を受けたので、是非一読して頂けたらと思います。
自分の見た目が
許せない人への処方箋
: こころの病
「身体醜形症」の治し方

本書では「自分が醜いという気持ちから逃れられない人へ」という序章から始まります。
そこから、「本当に醜いわけではないー身体醜形症にまつわる誤解」、「身体醜形症になりやすい人には6つのタイプがある」、「身体醜形症を克服するーあるがままの自分を好きになる処方箋」、「それでも整形するのはNGですか?―身体醜形症と美容整形」という各章へとつながり、身体醜形症の実態と原因、身体醜形症の克服方法について具体的な事例を交えながら解説した内容となっています。
中嶋先生は形成外科医としての視点にも立ちながらBDDを概観し、美容整心メンタル科を掲げ、身体醜形症、不安症などの神経症、パーソナリティ障害等の治療を対面診療・遠隔診療で日々臨床を行い、あるがままの自分を好きになるための思考や手法などについて実践されている先生です。
歪んだ鏡
:身体醜形障害の治療

本書は、米国の精神科医で身体醜形症の治療・研究の第一人者Katharine A Phillips博士が、同症の病像や治療法、家族や周囲の人の対処法などを書いた、世界で最も有名なBDDのバイブルともいうべき一冊です。
BDD患者は自らの容姿にとらわれることについて、他者から自分勝手だとか、道徳に反すると非難され、最終的に罪悪感を覚えて自分自身を責めてしまうことがあります。
Katharine A Phillips博士は本書でこのことを「二重の呪い」と述べています。私がBDD患者の心を少しでも和らげたいと強く感じたのはこの一文を読んだ時でした。 鍋田先生の本の中でもこちらの本の内容に関して言及する箇所がいくつかありますので、併行して読み進めるとさらに理解が深まると思います。
特にBDD臨床に携わる医療従事者には、概観を把握するのに是非とも読んでもらいたい一冊です。


